本の紹介
内容紹介
本邦初となる、溶出試験の日本語版実用書がついに刊行されました。本書は、試験室の実務者、製薬業界の管理職者や研究者の方々からの強い要望に応え、翻訳出版されたものです。
これまで、溶出試験の実務を系統的に解説した日本語の専門書は存在せず、多くの現場では経験や個別の文献に頼らざるを得ない状況でした。
本書『溶出試験ハンドブック 第4版』は、すでに世界標準となった英語版第3版までの内容を基盤とし、現代の溶出試験において知っておくべきあらゆる情報を網羅し集約しており、以下の幅広いトピックについて詳しく解説しています。
- 規制と最新情報
- USP、FDA、国際公定書の要件に関する最新アップデート。
- 実務と技術
- 試験法開発のステップ、課題解決、特殊な剤形の試験方法。
- 品質管理
- 管理変数、装置の適格性評価、自動化への対応。
- トラブルシューティング
- 異常データの処理、エラーや不具合の原因究明。
- 最新の追加項目
- 「公定書および規制ガイダンス」「試験法バリデーション」「適正製造基準(GMP)」に関する3つの新章を追加。
充実のリソース
- 深い理解のために
- 数百ものトピックに関する詳細な参考文献を収録。
- 利便性の追求
- 溶出試験に関するリソースやウェブサイトを網羅した、包括的な付録を完備。
溶出試験に携わるすべての方にとって、最も信頼できる座右の書となるよう設計されています。すなわち、溶出試験室には、まさに必携の一冊です。
目次(章と主な節)
- 第1章 溶出試験の概要1ページ
- なぜ溶出試験なのか?
- 崩壊試験
- 溶出試験の進化
- 溶出試験基準の策定
- 溶出試験の方法
- 攪拌方法と流体力学
- 溶出試験におけるUSPの役割
- 溶出試験におけるFDAの役割
- 第2章 理論的考察21ページ
- 溶出速度の定義
- 固有溶解速度と製剤の溶出
- 表面積と粒子サイズ
- 溶解度
- シンク条件
- 入力変数と出力変数
- 第3章 固形製剤の公定溶出試験35ページ
- バスケット(USP APPARATUS 1)
- パドル法(USP APPARATUS 2)
- Apparatus 1と2に共通の公定規格
- レシプロケーティングシリンダー法(USP APPARATUS 3)
- フロースルーセル法(USP APPARATUS 4)
- 第4章 特殊製剤の溶出試験59ページ
- 経皮製剤
- 経口製剤と局所製剤の溶出
- パドルオーバーディスク(USP APPARATUS 5)
- 回転シリンダー(USP APPARATUS 6)
- レシプロケーティングホルダー(USP APPARATUS 7)
- 縦型拡散セル
- 特殊製剤に関する推奨事項
- 第5章 溶出試験に関する薬局方のチャプターと規制ガイダンス77ページ
- 薬局方に準拠した溶出試験法
- 崩壊試験法
- メソッド開発
- メソッドバリデーション
- 生物学的同等性とIVIVC
- 規格
- 装置の適格性評価
- ハーモナイゼーション(三局調和)
- 第6章 溶出試験装置の変動性制御101ページ
- 攪拌駆動装置の揺動(APPARATUS 1と2)
- 振動
- 装置の幾何学的構造
- 溶出試験液の変数 – 溶存ガス
- 試験液の変数
- 流動パターンとベッセルの流体力学
- 吸着
- 変動要因とGMP遵守のためのチェックリスト
- 第7章 溶出試験の実施と装置バリデーション131ページ
- 溶出試験チェックリスト
- 装置の保守と適格性評価
- 一般的な予防保守チェックリスト
- 溶出試験器の適格性評価
- USP性能検証試験
- ASTM厳格版機械的適格性試験
- 第8章 溶出試験法(メソッド)の開発:USPおよび規制上の考慮事項163ページ
- メソッド開発のための質問チェックリスト
- 難溶性薬物 – 不適切なシンク条件
- バイオリレバント試験液
- 溶出試験の困難な製剤
- 浮遊製剤とシンカー
- 各種溶出試験装置の比較
- In VitroとIn Vivoの相関(IVIVC)
- 臨床的に関連性のある溶出試験規格(CRDS)
- 先端技術
- 第9章 メソッドバリデーション203ページ
- 正確度と回収率
- 特異性
- 直線性/測定範囲
- 中間精度(頑健性)
- 堅牢性
- ろ過
- 手動試験と自動化試験
- メソッド移行に関する考慮事項
- 第10章 溶出試験の自動化217ページ
- 溶出試験における単位操作
- 自動化溶出試験のセットアップ
- 溶出プロセスの自動化
- 自動サンプリング
- 自動サンプラーの隠れた問題
- 自動溶出試験におけるデータ処理
- CFR Title 21 Part 11
- 第11章 溶出試験実験室のGMP逸脱と大きな変動の根本原因を含む243ページ
- 第1部 溶出試験室におけるGMP
- 文書化
- 内部監査
- トレーニング記録
- 異常データの調査
- 第2部 不合格と高変動性の根本原因
巻末:付録(情報源とウェブサイトの一覧)/索引(アルファベット索引・日本語索引)/謝辞/著者について/監訳者紹介/翻訳
※ 各章の節は抜粋です。各章末に参考文献を収録しています。
試し読み(「序文」より)
米国薬局方(USP)が公式に採用した最初の溶出試験法は、1970年の回転バスケット法でした。過去50年間で、溶出試験の方法と応用範囲は劇的に拡大しました。即放性経口錠剤の単純な試験から始まったこの分野は、現在では様々な剤形、異なる装置や試験液を用いた多様な放出試験を包含するに至り、その一部はUSPや他の薬局方だけでなく規制文書でも認められています。
『溶出試験ハンドブック』第4版は、世界各国の薬局方に規定される多くの溶出試験に関する最新情報を提供しています。本書は、この分野の初心者にとって非常に有用な溶出試験の概要から始まり、第2章では溶出の理論的基礎に移行します。続く章では、様々な剤形に対する溶出試験の具体的な手法を解説し、特に経口投与や皮膚投与といった、従来から溶出試験が適用されてきた領域に焦点を当てています。また各章では、坐剤から皮下注射剤に至るまで、多様な剤形の溶出に関する有用なヒントも提供されています。
ハンドブックの大部分は、溶出試験に関する実践的な考察に割かれています。具体的には、装置の適格性評価と予防保全の実施方法、試験手順のバリデーション方法、実験室内および実験室間の変動を最小化する方法、ならびに溶出試験の自動化について、実験室でそれらを実施するために必要な詳細レベルで説明されています。
Jennifer Dressman(Professor, Johann Wolfgang Goethe University Frankfurt am Main, Germany)
翻訳について(「監訳者序文」より)
訳者らは、原著者の意向や表現に忠実であることを旨として翻訳・監修した。しかし、新規の研究・規制内容であるため、日本語での概念や語彙そのものがない場合もあった。そこで基本的には、日米欧三極薬局方検討会議および医薬品規制調和国際会議が合意した事項、ならびに第十八改正日本薬局方に記載された考え方や専門語彙に従う方向で翻訳・編集した。
監訳者 大塚 誠・鈴木 豊史