小説
始皇帝と徐福
この小説は、古代中国、春秋戦国時代の戦乱を終わらせた秦の始皇帝と、始皇帝を欺き遥か東方の海に旅立った斉の徐福(徐巿)の物語である。

この本の問い
始皇帝の命を受け、童男童女を連れて東方の海の彼方「蓬莱」をめざす徐巿。本書の章の題と登場人物の言葉から、この物語の問いを紹介します。
第四章
「蓬莱はどこだ」
始皇帝の命を受けた徐巿たちも、蓬莱への行き方は分かっていません。そこでまず九人で、蓬莱がどこにあるかを確かめる航海に出ます。朝鮮半島の西岸を南下し、耽羅(済州島)、有明海、南九州、そして伊勢へ。
まずは蓬莱がどこにあるか確かめに行くことから始めよう。
第五章
「会稽(杭州湾)から大型帆船で蓬莱に行けるのか」
本書は、唐の時代の張友信が杭州湾から九州に三昼夜で帆走したことなどを挙げ、風の速さから航海の日数を見積もります。そのうえで、大型帆船で東シナ海を渡る徐巿たちの航海を描きます。
計算上、三日~四日で杭州湾から九州まで(概ね八〇〇キロメートル)進むことになる。
第三章
「戦争のない新天地の蓬莱」
不老不死の薬を求める始皇帝に、なぜ「童男童女数千人」を連れて行くと申し出たのか。斉の元宰相・后勝と安期先生、蒯通が練った計画の中で、安期先生はこう語ります。
純真無垢な童男童女には、戦争で父親を亡くし売られてきた子供を連れて行く。奴婢となって扱き使われ、そして大人になって戦争で死ぬよりも、戦争のない新天地の蓬莱がいいじゃないか
試し読み第一章「第二回巡幸(徐巿一回目の謁見)」より
それから十日ほどして、徐巿が僊人を探したいと上書してきた。始皇帝は喜び、すぐさま接見する。
(中略)
徐巿は王の間に入り、頭を下げたまま前に進む。歳は二十代後半で目元が引き締まり精悍な顔立ちだった。空気が重たい。前方が見えないが、
―始皇帝が見下ろしている―と感じた。
「そなたが徐巿か。面を上げよ」
「はい」
「僊人を探したいとのことであるが、安期先生の知り合いか」
本書60ページより(松本 司)
目次
- 主な登場人物7ページ
- 第一章秦の始皇帝と徐福(徐巿)11ページ
- 一.春秋戦国時代の戦い12ページ
- 二.秦の台頭20ページ
- 三.始皇帝の中国統一30ページ
- 四.始皇帝の施政44ページ
- 五.第二回巡幸(徐巿一回目の謁見)52ページ
- 第二章斉の盛衰63ページ
- 六.田斉64ページ
- 七.斉が隣国(燕)の動乱に付け込む73ページ
- 八.燕の復讐83ページ
- 九.即墨の戦い92ページ
- 十.斉の建王(占い、そして秦に追従)104ページ
- 第三章徐巿と安期先生115ページ
- 十一.徐巿の諸国行脚116ページ
- 十二.徐巿の結婚141ページ
- 十三.秦が斉を滅ぼす152ページ
- 十四.后勝と安期先生の再会157ページ
- 第四章蓬莱はどこだ171ページ
- 十五.始皇帝の命令がでたぞ172ページ
- 十六.蓬莱はどこだ(有明海・南九州)182ページ
- 十七.后勝の死(伊勢湾)196ページ
- 十八.中国へ帰還207ページ
- 十九.帰国後の報告と次回準備213ページ
- 第五章会稽(杭州湾)から大型帆船で蓬莱に行けるのか225ページ
- 二十.会稽(杭州湾)から出航226ページ
- 二一.始皇帝の第三回巡幸(暗殺未遂)236ページ
- 二二.有明海、南九州、伊勢湾での交渉246ページ
- 二三.帰路での遭難257ページ
- 二四.第四回巡幸(渤海湾の帆船を眺める)270ページ
- 二五.帰国そして東渡準備279ページ
- 第六章始皇帝の生と死289ページ
- 二六.始皇帝の出生290ページ
- 二七.始皇帝暗殺未遂事件302ページ
- 二八.始皇帝の死生観315ページ
- 二九.第五回巡幸(徐巿との二回目の接見)325ページ
- 第七章蓬莱へ出航337ページ
- 三十.秦帝国の内部崩壊338ページ
- 三一.陳勝の叛乱が波及349ページ
- 三二.蓬莱へ出航358ページ
- 三三.ある家族の物語377ページ
- 第八章エピローグ389ページ
- 〇楚漢戦争のなか再興した斉が滅ぶ390ページ
- 〇徐福伝説401ページ
- 参考文献413ページ
本書3〜6ページ「目次」のとおり(数字は本書のページ)
著者のほかの本
『神武と徐福』(2022年・ブイツーソリューション)
書誌情報
- 書名
- 始皇帝と徐福
- 著者
- 松本 司
- 判型・ページ数
- 四六判・並製本・416ページ
- 定価
- 2,981円(本体2,710円+税)・POD(注文製本)
- 発売日
- 2025年9月25日
- ISBN
- 978-4-86741-404-0
- 発行
- ブイツーソリューション