本の紹介
内容紹介
マンション大規模修繕工事の、コンサルタントと工事監理に携わった体験を通し、管理組合が最も効率良く進めるにはこれしかないと確信する時系列実務本です。なかにはエッと驚かれる独自の仕事のやり方を含みました。同時に使用するツールをひな形として添付したので参考にして下さい。
管理組合が主体になり、パートナーと進める
大規模修繕工事の修繕委員に携わった人は一様に、大変な役だったと疲労困憊で話をされる——なぜそうなるのかを、著者は「あとがき」で次のように書いています。
大規模修繕工事は、管理会社からの提案が大半だと思います。そしてそのままずるずる管理会社の主導で進むケースが多く、誠実に適正価格でやってくれれば良いが、適正であるかどうかの判断は技術系の人でも難しく、競争相手がいないので当然高めになるのは当たり前です。
工事契約までのコンサルタント、工事契約後の工事監理者、建築技術専門家のこの人達をパートナーとしないが為に、苦労することになるのです。
そこで本書では、計画推進の主体となる管理組合(修繕委員会)が、建築技術専門家をパートナーにして進める形で、業務を時系列に整理しています。
第1部 第1〜14章
パートナーのコンサルタント計画までの準備と修繕委員会の発足から、劣化診断、コンサルタントの起用、予算、業者選び、見積り、総会での承認まで。コンサルタントの委託業務は、工事請負契約締結までです。
工事請負契約
第2部 第15〜18章
パートナーの工事監理者工事請負契約から、工事説明会、着工前の確認、工事期間中の品質・工程の管理、残ダメ工事の完了確認、完了報告書の引渡しまで。
時系列目次
章ごとに、節と、添付されているひな形(参考)を並べました。黄色の札がひな形で、目次に載っているひな形は全29点です。
第1部パートナーのコンサルタントと進める業務
- 12ページ
お金(修繕積立金)がないと何事も始まらない!
1、大規模修繕工事の計画までの準備- 修繕積立金の把握
- 長期修繕計画書の確認
- 修繕(補修)履歴の確認
- 大規模修繕工事の必要性
- 18ページ
修繕委員は、任期のある理事では務まらない!
2、修繕委員会の発足- 理事会で推進する会の決定
- 修繕委員(専門委員)
- 修繕委員の体制確立と具体的活動決定
- 修繕工事の全体行程の認識
- 修繕委員会がすぐに実施すること
- 管理組合(理事会)との連携が重要
- <修繕委員募集のお知らせ>(参考)
- <大規模修繕工事標準全体フロー>(参考)
- 25ページ
劣化診断の早期予算化と実施で、建物の現状を知る事から始まる!
3、劣化診断の実施- 劣化診断の時期
- 劣化診断の信頼出来る専門家の募集
- 劣化診断の依頼項目
- 劣化診断の目安診断料
- 提出された劣化診断報告書の精査と技術的判断
- 修繕工事実施の為の積立金再確認
- <劣化診断見積書のお願い>(参考)
- 35ページ
居住者の声は建物の財産!
4、アンケートの実施- 不具合・改善等意見集約のアンケート作成
- 回収アンケートの整理
- 指摘内容の現場確認
- 指摘内容の修繕要不要の判定
- <アンケート協力のお願い>(参考)
- <アンケート回収内容整理一覧表>(参考)
- 41ページ
信頼出来る建築技術プロは絶対必要!
5、コンサルタントの起用- コンサルタント起用の必要性
- 募集方法
- 審査
- 業務委託内容
- コンサルティング単体業務(工事監理は別途)の適正委託料
- 工事監理を含む一貫業務委託の適正委託料
- コンサルタントの位置付け
- <コンサルタント募集のご案内>(参考)
- <コンサルティング業務想定人工表>(参考)
- <コンサルティング業務委託契約書>(参考)
- 51ページ
その他費用を軽視すると、あとで痛い目にあう!
6、建物等工事予算(概算)書の作成- 工事予算(概算)書とは
- 設計図(建物・設備等)のCD化
- 数量表作成
- 予算(概算)書作成
- その他費用の加算
- 工事予算と積立金総額の整合
- <修繕工事予算(概算)一覧表【内部用】>(参考)
- <修繕工事予算(概算)内訳書>(参考)※後半は割愛
- 70ページ
設備も劣化診断からすべてが始まる!
7、設備工事予算(概算)書の作成- 設備工事の修繕内容
- 給排水管の劣化対応
- 給排水管の修繕工事
- 75ページ
区分所有者への丁寧な説明が重要!
8、通常(臨時)総会への議案(基本計画書)提出と承認- 通常(臨時)総会の開催目的
- 総会召集文書の作成
- 基本計画書の作成
- コンサルタント紹介
- <総会開催(基本計画)のお知らせ>(参考)
- <基本計画書>(参考)
- <アンケート集約理事会(修繕委員会)採否検討結果一覧表>(参考)
- <修繕予定項目案>(参考)
- <体制表>(参考)
- 83ページ
修繕工事業者はしっかり見極めよう! ここが一番大事! 修繕工事は現場監督の良し悪しで決まる!
9、修繕工事業者の募集と決定- 修繕工事業者の募集
- 候補修繕工事業者に会社概要等依頼若しくは資料収集
- 候補修繕工事業者の選定
- ヒアリングの実施と候補修繕工事業者の決定
- <修繕工事業者面談のご案内>(参考)
- 89ページ
「一番安い業者さんに決めネゴはしません」同時に「外壁修繕は推測して計上願い追加はなしとします」と宣言も一つの方法!
10、候補修繕工事業者への見積り依頼- 見積要項書の作成
- 設計図面CD貸与と参考数量提示
- 見積り内訳明細書の作成
- 見積り参加案内文書送付
- 見積り現場説明会(現説)
- <見積要項書>(参考)
- <見積り概要>(参考)
- <工事別特記事項>(参考)
- <見積り内訳明細書>(参考)
- 114ページ
一斉開封、これが一番公明正大!
11、見積り比較と査定及び最終見積書- 見積り比較と査定
- 見積り総額と修繕積立金総額の整合
- 業者ヒアリング
- 工事計画書と工事仕様書の依頼
- <各社見積り比較表>(参考)
- <各社見積り内訳比較表>(参考)※中盤以降は割愛
- <発注内示書>(参考)
- 124ページ
工事計画の総額決定後、次回に向け積立金見直しにすぐ動くことが必要!
12、修繕積立金の見直し- <長期修繕計画(収支計画)例>(参考)
- 128ページ
業者任せはダメ!やることを明確にする!
13、工事監理者の選定と業務委託内容及び委託料- 工事監理者募集と選定
- 工事監理業務内容
- 業務委託料の決定
- <工事監理業務委託契約書>(参考)
- 133ページ
大規模修繕工事の実施に向けた丁寧な説明が必要!
14、通常(臨時)総会への議案(実施計画書)提出と承認- 通常(臨時)総会の承認
- 落選業者への断り状発送
- <臨時総会開催(実施計画)のお知らせ>(参考)
- <実施計画書>(参考)
- <予実算対照表例>(参考)
第2部パートナーの工事監理者と進める業務
- 142ページ
最終金支払いは、残ダメ(残っている工事と不具合工事)工事完了確認後の設定を厳守!
15、修繕工事請負契約締結- 契約書の準備
- 約款含む内容確認(抜粋)
- 添付書類
- 業務引継ぎ
- <マンション修繕工事請負契約書例>(参考)
- 150ページ
区分所有者・居住者向けの説明会。有料工事の説明、玄関枠塗装等の協力依頼。
16、工事説明会- 工事説明会案内文書と説明会資料の作成と配布
- 工事説明会進行
- 工事説明内容
- 有料工事の説明
- 153ページ
近隣、第三者、居住者に迷惑をかけない!
17、工事着手までの実施・確認内容- 近隣挨拶
- 安全通路の確認と表示
- 居住者駐車場・駐輪場の通行確認
- 工事用(居住者用)駐車場所の確認
- 工事用掲示板設置場所の確認
- 業者の入館鍵の管理方法
- 154ページ
工事監理者も人間、これだけやるのは大変だが、手を抜いてはいけない!
18、工事期間中の工事監理者の具体的業務- 修繕工事計画書と修繕工事仕様書等のチェック業務
- 品質管理業務(最低週1回の現場監理)
- 未決仕様・品番等の決定と使用済材等の確認業務
- 工程管理業務
- 工事監理内容の管理組合(修繕委員会)への連絡・報告業務
- 工事中間時の管理組合現場立ち合いの計画実施業務
- 中間工事代金支払い出来高査定業務
- 追加工事費の査定業務
- 工事完了引取り検査と残ダメ工事完全完了検査業務
- 最終工事代金支払い査定業務
- 修繕工事完了報告書の内容確認と管理組合(修繕委員会)引渡し業務
巻頭:はじめに/時系列目次 巻末:あとがき/筆者プロフィール
※ ひな形は参考です。見積要項書などには「物件の状況に合わせて作成します」と添えられています。
「掲示板」のテーマ
章の合間には、著者が経験を通した知識を書き留めた「掲示板」があります。取り上げているテーマは次の24本です。
- 修繕工事サイクル
- 修繕工事の着手時期
- 既存不適格
- 専有部分と共用部分
- 用語解説
- パラペットの防水
- 新耐震基準
- 網入りガラスの割れ
- 壁の汚れ対策
- エレベーターの出入り枠の傷対策
- 各戸玄関扉丁番ワッシャー
- 吹付け仕様の内外壁コンクリートのクラック(ひび割れ)の修繕方法
- 外壁タイルのクラック(ひび割れ)等の修繕方法
- 外壁タイル浮きの修繕方法
- 防水修繕工法
- 専有部の給水・給湯管とガス管
- 共用部の照明器具LED化
- シーリング(コーキング)は変成シリコンに統一
- 機械式駐車場
- シーリング施工の留意点
- 防水工事の保証
- 鉄部塗装
- 玄関扉枠塗装
- 修繕工事一連の書類保管
試し読み(「はじめに」より)
これは私がこれまでに携わったマンション大規模修繕工事のコンサルタントと工事監理業務の体験をもとにした、管理組合がマンション大規模修繕工事を最も効率良く進める時系列の実務本です。
大規模修繕工事におけるマニュアルやガイドブック等は世の中に沢山ありますが、時系列にひな形を付けて整理されたものはなく、業務に携わっていない為か肝心なところはぼかし、修繕工事併設管理会社やコンサル会社の固有技術になっており、その記録が公開されたものは知るところ見当たりません。
これでは計画推進の主体となる管理組合(修繕委員会)は、どこから手をつけて良いか分からず、計画推進に時間を費し、あげくの果ては管理会社や建設会社等に丸投げする事になっているのが現実ではないでしょうか。
それでもなんとか工事完了しますが、疲労感だけが残ります。
ここでは、ありきたりのアドバイスは省略し、管理組合(修繕委員会)が、パートナーの第1部コンサルタント、第2部工事監理者と連携して、具体的活動を時系列に整理し、同時に使える文書等のひな形を添付しました。
日浅 康彦(本書「はじめに」より)