
小説
サハヱの四季
ちょっと昔の駅のおはなし

書名の「サハヱ」
その駅――沢畑駅は、電略を「サハ」という。
電略とは、明治の昔から鉄道各機関で送る電報文で使う略号のことだ。これに「駅」を略した「ヱ」を付した「サハヱ」が、この鉄道の連絡文書において沢畑駅が登場するときの名称なのである。
本書 2ページより
「サハヱ」は、物語の舞台となる小さな駅・沢畑(さわはた)駅のこと。本書は、明治の昔に山の中の軽便鉄道に置かれたこの駅のいわれから始まります。
どんなお話?
都会の近くの山の中腹に、沢畑駅という小さな駅があります。ある年の春、四十数年の駅員生活ののちに再雇用された佐々木守氏が、この駅にたった一人で勤めることになりました。
駅からの眺めは、佐々木氏の故郷・瀬戸内海の沿岸の眺めとよく似ています。
遠くの山並みとの間の、この地方で唯一の大河川である多波川を中心とした谷に、その川から発する霧が積み重なって、まるで海水を張ったようになると、それはまったく瀬戸内の景色と見まごうばかりなのであった。
春の章 第一話 本書 5ページより
駅のまん前で店を営む宮崎さん夫婦、朝の見回りにやって来る隣の三嶽駅の山本駅長、若い車掌や駅員たち。電車や貨物列車を迎えては送り出す毎日に、山の季節がめぐっていきます。
四つの季節
春・夏・秋・冬の四つの章に、全27話。各章から、季節の一文を紹介します。
- 春の章全6話・4ページから
どこかでウグイスが鳴いている。梅の花の香りがほのかに漂ってくる。じきに桜も咲くだろう。
本書 5ページより
- 夏の章全5話・48ページから
春に宮崎さんが植えたアジサイがこんもりと綺麗な花をつけた。それが合図になったかのように雨の降る日が続くようになった。
本書 48ページより
- 秋の章全7話・92ページから
やがて、おお、出た出た、という声に誘われるかのように、はるか東の山の陰から大きな満月が顔を出した。
本書 107ページより
- 冬の章全7話・143ページから
佐々木守氏が沢畑駅へ着任してから初めての正月がまもなくやって来る。
本書 143ページより
冬の章のあとに「別談サハヱの四季(おまけ)」の2話と、あとがきが続きます。
書誌情報
- 書名
- サハヱの四季 ちょっと昔の駅のおはなし
- 著者
- 澁谷映輔
- ジャンル
- 小説
- 判型・ページ数
- B6判・ペーパーバック・216ページ
- 価格
- POD版 1,815円(税込)/電子書籍 1,650円(税込)
- 刊行
- 2025年11月
- ISBN
- 978-4-86741-427-9
- 発行
- ブイツーソリューション
- お求め方法
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