
この本について
子どもが読んでもいい物語は、大人が読んでもやっぱりいいのではないでしょうか。自然や人や動物を観察していると、どこからともなく彼らが語りかけてきて、そして物語が生まれます。
内容紹介より
だんごむしは、どうしてこそこそ隠れるの? むかでは、どうして嫌われものになったの? すずめは、どうしていつもさえずっているの? いくつもの話が、そんな「どうして」を前に、語り手が「今日はそのお話をしましょう」と語りかけるところから始まります。
舞台は、虫たちの村や海の世界、アフリカのサバンナから、昔の播磨の国、盛岡へ向かう新幹線、そして表題作のポルヴォの町まで。一話ずつ短く、どこからでも読めます。
書き出しから、いくつか
いくつかの話の書き出しを引用しました。
動物編通訳が得意なすずめの話
すずめは、なぜいつも昼も夜ものべつ幕なしに、至るところでちゅんちゅんと元気よくさえずっているのでしょうか。今日はそのお話をしましょう。
昔々、鳥たちはとてもたくさんの言葉を話しておりました。カラスが話す言葉はカラス語、ハトが話す言葉はハト語、キツツキが話す言葉はキツツキ語、というように、本当に色々な言葉があったんです。
本書 54ページ
人物編白い電球と黒い電球の話
古い古い民家には、それはそれは不思議な電球があるのだそうです。古い民家にあるのですから、電球も当然、相当古いのでしょうね。その不思議な電球は、表面が黒い色と白い色でできているそうです。「そうです」と言ったのは、私自身がそれをまだ見つけたことがないからなのですが、今日はその電球のお話をしましょう。
本書 120ページ
人物編赤い風鈴
夏の暑い日だった。僕の左手の方に、年の頃二十二、三の美しい女性が荷車にたくさんの風鈴を並べて、佇んでいた。麦藁帽子に白いTシャツという、いかにも田舎のそれに相応しい格好だったが、よく日焼けした小麦色の顔にちょこんとついた赤い唇と垢抜けた目、そして肩まで伸びて切り揃えられた茶色の髪は、こんな田舎に似合わない非凡な感じがした。
本書 166ページ
人物編ポルヴォ・ロマンス
ポルヴォの町の噂ではアニー叔母さんは偏屈ということであったし、噂というものは大抵八割がたが真実であるから、従って残りの二割は差し引いて考えなくてはいけないのだが――この噂ばかりは一〇〇%正しいという事を、アニー叔母さんの唯一の血縁である私でさえ、認めないわけにはいかなかった。
本書 202ページ
収録作品
《動物編》9篇
- 蟻ともぐらとミミズ
- こそこそ隠れるだんごむしの話
- ひとりぼっちのむかでの話
- カエルを食べかけたニワトリの話
- 黄色いシャツと黒いパンツと白い靴下の話
- 通訳が得意なすずめの話
- 頭のいい海老の話
- 白いたらこと赤いタラの話
- 世界がうんちでいっぱいになる話
《人物編》8篇
- 舌を引き抜かれたお姫様の話
- 白い電球と黒い電球の話
- 魔法のお鍋の話
- 魔法の力を持ったナンバンギセルの話
- 赤い風鈴
- 馳夫
- 豚肉が好きな男の話
- ポルヴォ・ロマンス
書誌情報
- 書名
- ポルヴォ・ロマンス 気軽に読める童話のような短篇集
- 著者
- 田林洋一
- 判型・ページ数
- 四六判・並製本・234ページ
- 定価
- 1,430円(本体1,300円+税)
- 発売日
- 2020年2月10日
- ISBN
- 978-4-434-26723-9
- 発行
- ブイツーソリューション(発売:星雲社)