本の紹介
内容紹介
仙台市川内は市中心部から広瀬川を渡った先の大学キャンパスが広がる地域。そこで母と二人で暮らす中学二年の少年は、辛い思いを続けてきた転校生の少女と出会った。
この地の高校と大学を舞台に、真面目で丁寧に生きていく若い二人の成長とその家族や友人たちの日々を描く。
出版社の内容紹介より
この本のこと
目次
一.転校生5ページ
中学二年の始業式の日、和樹のクラスに美優が転校してきます。図書室、帰りのバス、ピアノのレッスン。川内とその周りの町を歩きながら、二人は少しずつお互いのことを話していきます。夏休みには、浦和から美優の親友・詩織が遊びに来ます。
二.高校入学51ページ
高校生になった二人は、仲間を集めてリコーダー同好会を作ります。
三.大学入学84ページ
四.新しい家族113ページ
五.新しい生活162ページ
梓さんの青春194ページ
本書の目次より。数字は本書のページです。第三章から先の内容は、本書でお楽しみください。
登場人物
第一章に登場する人たちです。
久保田和樹(カズ君)語り手の「僕」
川内に住む中学二年生。テストの成績は良いけれど、体育は苦手。放課後は図書室で新聞を読み、地元の歴史や雑学をため込んでいます。自宅でピアノを教える母と二人暮らし。父は、和樹が幼稚園のときに震災で亡くなりました。
本書 6〜7・27ページ
和田美優(ミユちゃん)語り手の「私」
中学二年の春、埼玉県のさいたま市(浦和)から転校してきました。名前の読みは「ミユウ」ですが、小さいころから「ミユ」と呼ばれています。小学三年から四年のころ、父の仕事でアメリカのノースカロライナ州で暮らしました。和樹の母のピアノのレッスンに通うことになります。
本書 8・10・17〜18ページ
和樹の母
自宅でピアノを教えています。美優は「カズ君のお母さまって素敵な方よね」と言います。
本書 7・29ページ
美優の両親
父は大学の経済学部の先生、母は社会学の研究者です。
本書 31ページ
詩織(詩織ちゃん)
浦和に住む美優の親友。小学一年から一緒で、浦和でつらい日々を過ごしていた美優のそばにいてくれました。中学二年の夏、仙台へ遊びに来ます。
本書 20・38ページ
物語の舞台
第一章で二人が歩く仙台の町から。引用は本書のとおり、数字は本書のページです。
川内
通学路の途中に広瀬川という川があり、それより自宅側は川内という丘になります。
美優のメール 本書 5ページより
大学のキャンパスが広がる丘の町。和樹と美優の家があります。
広瀬川と澱橋
広瀬川の水流は普段は少なく、河原が広がっている。
和樹 本書 14ページより
中学からバスに乗らずに歩いて帰る日。澱橋が見えてきます。
大学の植物園
この植物園は花が咲き乱れているような所ではなく、大きな樹木がたくさん生えていてその間を小道が通っている森だ。
和樹 本書 16ページより
連休明けの土曜日、ピアノのレッスンのあとに二人で出かけます。
大崎八幡宮
初めてここに来るミユちゃんは、想像していたよりも立派なところだとちょっと驚いていた。
和樹 本書 25ページより
中間テストが終わった日の午後、二人で歩いてお参りに。
牛越橋
大崎八幡宮から山形寄りの交差点を左に曲がって坂を下ると牛越橋。
和樹 本書 29ページより
八幡宮からの帰り道。橋を渡って坂を上ると、二人の家のそばに出ます。
定禅寺通りのケヤキ並木
このケヤキのトンネルは僕が中心部側で一番好きなところだ。
和樹 本書 30ページより
土曜のレッスンのあとに通う市立図書館の前の並木道。ベンチが空いていれば、ゆっくり話ができます。
野草園
ここは大学の植物園よりも草花が多くピクニックにはいいかもしれない。
和樹 本書 33〜34ページより
中学二年の夏休み、二人でピクニックに。
試し読み
第一章「転校生」の書き出し。転校してきた美優が、浦和の親友・詩織に送るメールです(本書 5〜6ページ)。
縦書きです。右から左へお読みください(枠に収まらないときは、枠の中を左へスクロールできます)。
一.転校生
和田美優 詩織へのメール
先日は大宮駅まで見送りに来てもらってありがとう。引っ越しのごたごたも何とか落ち着き、昨日は新しい学校に入学手続きで行きました。とても学区が広くて通学には徒歩で三十分以上かかりますが、バスがあるので大丈夫です。学年百人ほどで三クラス。これまでの学校とは違ってこじんまりしています。通学路の途中に広瀬川という川があり、それより自宅側は川内という丘になります。鹿児島県の川内は「せんだい」、仙台市の川内は「かわうち」です。理科で習った河岸段丘で自宅までは上り坂です。途中には東北大のキャンパスが広がっていて、自宅はその先にあります。大学関係者が多い地域で、この家も三年ほどアメリカの大学に研究に行く方からの短期家具付き賃貸です。ピアノが置いてあったのでこちらでも習おうかと思います。
小五でアメリカから戻ってきてからうまくいかない三年間でしたが、いつも詩織がそばにいてくれたことで何とかやって来られました。本当にありがとう。心から感謝しています。これまではたくさんお話をしていましたが、これからはそうはいきません。時々メールしますので、お付き合いいただければ幸いです。最初は漢字の練習もかねて手紙を書こうかと思いましたが、無理なことはやめました。
大宮から仙台までは一時間ほどで着くのでちょっと驚きました。新しい学校生活は不安もたくさんありますが、誰もこれまでの私を知らないので新しい自分になれそうです。というか必ずなります。
浦和で私を見守ってくださったお母さま、おばあちゃまにはよろしくお伝えください。ではおやすみなさい。
美優
(つづきは本書で)