Book Detail
聖女の罪と罰
内容紹介
重低音を響かせるのは日本とイタリアの歴史。江戸から明治維新で格式を誇っていた碧小路家には宿本陣という役目はなくなった。しかし広大な屋敷は歴然と存在していた。第一次世界大戦で植民地を得られなかったイタリアは、再建を図るムッソリーニの元でファシズムに傾倒していく。二つの国の歴史のうねりに巻き込まれるヒロイン、碧小路美和。
華麗なるメロディを奏でるのはオペラ「蝶々夫人」「ワルキューレ」など。台詞が主人公・歌姫・美和の運命に呪いをかけて行く。歌詞が全編に配される。
勿論主題は登場人物の愛情劇。男と女、父と娘、母と娘、友情等が絡み合って足掻いてもあがいても運命に流されていく。子が親を慕う強い愛が全てを安らぎの世界に導く。
最期を彩るのは装飾音のようにきらめく美しい景色、碧小路家の広大な屋敷、ムッソリーニが威信をかけたて改築したミラノの大駅舎の建造。リビアの廃墟となった教会での闇夜の結婚式、スイス等36章に渡るそれぞれのシーンは人間の過酷な運命に引き換えてあまりに美しい。
物語は淡々と静かに語られていく。時にはメルヘンチックに、時にはシニカルに。オペラを知っている方にはメロディが響き渡り、知らなかった方には言葉が美しく響くだろう。
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